ずっ、と身の奥へと侵入する熱く濡れた感触は耳の奥で木霊した。
あ、あ、…あぁ。たりないと、みたされないのだと、鳴き叫ぶ灼熱の躯。どこもかしこもガクガクと震え目の前がぶれてぶれて頭のてっぺんからつま先までが真っ赤に餓えてしまっていた。…せわしなく弾む胸の上の、腹の奥の、 ぬるりと濡れた感触がひどく淫らだ。淫らなことだ…。すり、とすべる肌の感触ひとつさえビリビリと凄まじく身を苛む、 なんて、なんて…。ひどい。やさしく扱うように、…触れる、だからひどい。 この上もなく心地良く自分の上を覆う男の気配が濃密な猛毒の甘さで眩暈をおこしてくる。
「…も、ぅ、やだ、……んぐッッ!!」
目の奥がチカチカした。カハッと咳き込む。息が足りない。 溺れるようにもがき呻く躯はどこまでも重く鈍く、ジンと侵されている。 熱く熱くヒリヒリと茹る脳神経。ずっと脳は端から端までジリジリと炙られている感触だ。これはもう…、なんだろうか? ガンガンと叩きつけられるような頭痛を感じていた筈なのにそれはもうとっくに追い越してしまった…?そうして 今は爛れて膿み腐れていってるのかもしれないのか。綱吉は笑いたくなった。
ぐらぐらと揺れる視界。(ふさいでくれ)嘆きたい。泳ぐように悲鳴のように必死に空をかく自分の指先がぼんやりとあった。ほそいなあ…。そう気付けば途端にその爪先がすいっと難なく捕らえられてしまい温かな湿りの中に導かれてく…、ぴちゃりと。舌が絡む。ツナ。いとしく。かつんと歯があたった。食べられそうだと思う。 綱吉の指先はそのつけ根までぬるりと真っ赤な舌がミルクを舐める子猫の丹念さでもって丁寧に甘くなぞられた。
「食い千切れそうだ…、はは、やあーらかいのぉ…」
また思いっきりズンと埋め込まれていく。どこもかしこもお前はやわらかだ。貫きながら前を扱く手がぬるぬるとリズミカルになり男はその度の綱吉の嬌声にうっとりと目を細めた。するっと綱吉の琥珀色の目の中に額の汗がまじりこんだ。それを ぱかりと開けた口からまた赫い舌を伸ばして愛し子の目尻にたまった涙とともにすすった。 なぐさめるようにやさしい行為だ。…やさしい?どこがだ。綱吉は一際大きく喘いでいた。
「…ひっ!?…ぁ、う、んぁあ…ッッ!!」
ひくん、ひくん、と腰は耐えず蠢いていた。男は決して腰の動きをやめずにズンズンと抜き差しを繰り返し続け角度を微妙にかえながらぐちゃぐちゃに嬲り繰り返してわらっていた。
「…やだああ…ッ!!…ぁ、あ、あ、あ、…ぁあ!!」
ぐぷん、とその音がまるでひどい裏切りの果てのように綱吉には聞こえた。
激しい振動が世界を滅ぼしたい衝動のように。開いた足の真ん中が熱くひりつく。…串刺しだ。まさしく串刺しなのか。
これによって得るものは自分ひとりの醜態だけなのに。
満たされない執着抱えた、満たされない願望抱えた、欲望は世界を滅ぼせばことたりるみたいな…。
(ドロドロに腐り蕩けた、いまこそに…)
支配したいなら首をへし折ればいい。
退廃的な感想を呼び込む。
「…なあ、ツナぁ…?俺の名前をよんでさあそんで、…ぁ、あいしてるって、いってみてね?」
「ぁぐ、…んんぅ、…ッ、ぁああッ!?」
じゅぷじゅぷと熱い水音が淫らがましく響く。
腰をふってズンズンと侵食して白い幼い躯は激しく揺さぶられていく。内股はびちゃびちゃだった。
綱吉は与えられるものを拒絶できなかった。ツっ、と滑る指先ひとつにさえ震える甘ったるい体と心。 ぐるんと裏返されても抵抗できない。虚ろな目の中に映り込む甘やかに豊潤な笑顔の男がかぷりと綱吉に噛み付いてくる。 心の中央にはもうこの男の執着が住み着いているのに。それでも。
「あいしてるって、いって…。そんで、首をしめるみたいに、…ここを噛みちぎってよ」
「はぅ…ッ!!」
ガッと奥の奥まで突っ込まれて本当に目の前で真っ白く星が飛んだ。じゅわっと身の奥が焼け焦げるような熱い滴りが満ちて ずるりと底から根こそぎ奪われるようにビクビクと達した。
ハッ、ハッ、ハッ、とガクリと項垂れて死にたいほどの羞恥心がぐつぐつ沸き起こってくる。もう、やだ。
力ない声を無視して嬉しそうにぬるぬると促す指。吐き出す口を愛撫して粘つく液を指先に絡ませて遊ぶ。
「やだー。もう一回しよ?…それにね、達したばかりだから? あったかいツナの中が俺ので濡れて粘ついてすごい心地ヨくってさあ、…なんか波のようなリズムで、ぐち、ぐち、って 収縮を繰り返してすげえいい!」
綱吉の躯のそこかしらをいじりまわしながら、男はなにかに気付いたようにふいに綱吉の腹をてのひらいっぱいでなで、 ぐっと押した。
「ッッ!!」
「わかる?」
うすっぺらい腹だもんねーとなんとも無邪気な声だ。ぐじゅっと結合した部分から垂れ出した。ぐっ、ぐっ。 何度か強く押し続け、綱吉がゲホゲホと咽たのをきっかけにやめた。
そうしてするっとてのひらは腹から胸へと滑りあがり、唇は綱吉の首筋をやわらかく食んでいった。
「俺ので串刺しされたツナっていいね。気持ちよいみたいだし、俺もすげえいいし、…なんかもう、 もっともっとほしくなる。快感もだけど、ツナを支配したくなる。生も死も俺が決めていい? 俺が生きてっていったら生きて、そんで死んでっていったら俺を殺して死ぬの。そん時は腹上死でよろしく! 俺の上で泣きながらよがって達して首絞めてここも食い千切って死んでよ。真っ白くドロドロでさ…、 血も混じってイチゴミルクみたいな色してさー…。卑猥だあー。ピンクな妄想だねー…」
くすくす笑いながら男は綱吉の顎を掴み、噛み付くようなキスをした。また…、腰が。くいくい器用に動かして、 ずるずるとちぢこんだ綱吉の快楽をひっぱりだしていく。じゅ、じゅ、と水音がスムーズな色で響いた。
綱吉は目を虚ろにあけて舌を出した。男の背中に両手をまわしてすがった。蝶のようだ。男がわらう。
トクトクと鳴る心臓の音に指先すべらせて指に絡んだ白濁で自分の名前をかたどる男。自分のものには名前かかないと。 冗談交じりの声にせつない色の願いがこもった。
「ツナは足も心も俺にひらいて刺されていればいいから。他のことはなんもかんもどうでもよくなるほど気持ちよくさせてあげるから…、」
だから傍に。
綱吉の爪は男の背に赤い線をひいた。






2008/04/05