それがそうなのだと正当なことであると思っていた頭は稚拙なものだったと絶大な屈辱に塗れたと
同時に何もかもが如何でも良くなった。ハッとした。白髪頭の翁と黒髪の瑞々しい少年を両脇にそろえた
東洋人は、するりとかなしくわらったのだ。ちいさく…。
己の全てを奪ったくせに、勝者の光をその身にその背にめいっぱい浴びながらも、
彼はそんなことを望んでいなかったとばかりに苦しく刹那だけ自嘲したのだから。
刹那。刹那。刹那だけ…。キリリと引き締まったとき。
まるで此方が彼の全てを奪いつくした陵辱者であるような目でもって己を睨みすえながら。
透過された琥珀。
わらった。
(瞳閉じても思い返すのはあの絶望の色にも似た瓦解の楽園のいりぐち…、忘れないだろう、あの
胸を刹那に焦がした、あの、………あの、とても冷たい焦燥を。)
いばらの冠
綱吉は傍系である。それも、傍系と数えるには図々しい程の薄さといってもいい。
彼も誰もそんなことは重々承知であり、もはや周知の事実といってもいい、日本という国の血しか持っていない小僧だ彼は、
雑種でさえ相当な風当りの世界において十代目を就任する彼の血筋といったら初代の血を一滴だけ吸っているだけの子供でしかない。
いうなれば、『偉大なる初代の血筋』というか細く埃まみれのレッテルしかなく、
闇の世界のノウハウを知った者、功績を残した者、名を馳せた者の血縁も
政略結婚等で培った後ろ盾などまったくないのだ。
それなのに彼は十代目となる、偉大なる脅威なるマフィア・ボンゴレの。
「それはそれで愉快な見世物だと思うようになったぜ、俺は」
「………そうですか」
パチ、パチ、と。ザンザスと綱吉は向かい合い、指南書片手に彼らはあーだこーだと唸りあっていた。
一度、ザンザスはキレて、近くにあった花瓶を蹴り落とし、綱吉もそれを見て何かが切れて、バーーン!と
窓を全開にして叫んだ。『誰だよ、こんなもんをザンザス氏とやれっていったやつわーーーーー!!!』
とかなんとか。………とりあえず、メイドが騒ぎを聞きつけ、怯え怯え花瓶を片付け窓もそそっと閉じていった。
そして変わりにチョンと置いていったのが鎮静効果あるらしい?なんかハーブ系紅茶だった。
それよりもコーラとか炭酸飲みたいなぁーと綱吉は駄々をこね、ザンザスもビール持ってこいと言ったものだから…。
「ザンザス氏、息が酒くさいですよーぅ」
「ああん?だったら早く負けを認めやがれや」
「えー、だってぇー、やっぱり10代目となる俺が勝つべきでしょー?」
「てっめ!!」
「ストップ!!☆一徹みたいに盤を引っ繰り返したらあんたの負けですからね!?負けですから!!
さあ、それを踏まえてやっちゃってくださいよザンザス氏!!!」
「く…ッ!!くそ、だったらやらねえーぜってーにやらねーーーー!!!!」
「ちぇ、なんだよなんだよー!そういう時にこそさ、おっとこらしくに、ガッ!ガッシャーーン!ドガシャシャーーン!!
ガランガラン、…ババン!俺が負けました!!潔く貴方の奴隷となりまっしょー!!とかゆうべきなんだ!!」
「お前のその思考回路こそ女々しいんだよ!!ああ!!?なんだったら拳いくか拳でよぉ!!?
拳じゃあぜってぇ負けるっつーからこんなわけわからんみみっちい勝負に付き合ってやってんだろうがこのドグサレ!!」
「ど、どぐされ…!!だからあんたは下衆だヤンキーだとか言われてボンゴレの品格に合わないっていわれんだよ!!」
「うるっせ!てめえみてえなチンクシャに上品下品を物語れると思うなよ!!?俺は真面目にやりゃーそれなりに
出来んだよ死ね!!!」
「死ねってまでいったーー!!俺お前の上司なのにー!!」
わあわああわあーーっと今日もボンゴレのボスの執務室は大賑わいである。ザンザスはとうとう、………『将棋』なるものにも
イライライライラとぶっちぎりだったもので(九代目がほくほく顔でこれをツナキチとしてこいや、これなら勝てるだろ?ん?
……とゆうか奴の名はツナヨシだぜジジイとかなんとかで。)そして綱吉もギリリギリリと我慢も限界だった為に
相乗効果的なもので、バッツーーン!!とキレたのであった。まあ、少しは酒の勢いもあったかもしれない。
ザルなのでなかったかもしれない。謎。
「チクショウ!!もう拳だ拳だ小僧!!オラ、かかってこいやあー!!」
「え!!?ちょ、ちょっと待ってよ!!俺すっごい貧弱なんだよ!!?死ぬ気にならないとあんたに敵わないし!!」
「知るかボケ!!アホンダラァーー!!!」
「わ、…ひぇ!!?ちょ、ちょっと、マジ!!?マジニデスカ!!?」
ぶわっと振り上げられ、とっさに綱吉は頭を庇いつつ瞬時に椅子から飛び退った。ズドン!!
ザンザスの拳が(案の定)綱吉の座っていた椅子に落ちていった。すっげ。冷や汗ダラダラになりながら、
見事に穴開いたわシュウシュウなんか焦げ痕みたいなものまでついちゃってる拳の威力にぞわっとした。
逃げるしかない!!超・直・感☆でなくてもそんなんこんなん見たら誰だったわっかるわーーい!!と
セルフツッコミをしつつ、綱吉は脱兎の如くに逃げ出した。もうさっきみたいな偶然なんて有り得ない。奴は
狙ってくるだろう、狙ってくるだろう…!!本気でタマ取りにきやがってやがんだぁああああーーーー!!!
「なんだよなんだよぉー!!ひとが折角仲良くしようって気になってたのにぃーーー!!!」
ズダダダダーーー!!っと赤い絨毯の廊下を必死に全速力で駆けていく。シャンデリアがチラチラキラキラ揺れたりメイドさんが
曲がり角にいたりしたら、きゃっとかいわれたりしながら綱吉は死ぬ気で逃げる。逃げる!!
後ろからは闘牛も真っ青な暗黒イノシシ男が追ってきている。ドガア!!ガシャーン!!ドカン!!
とか某ダイナマイトな人が何かやらかしてるような爆音を人間ひとり身ひとつで成し遂げながら。
あいつ人間兵器だよ…、綱吉は悲しくなった。なんで、なんで……?
「……あきらめたんだよ、バカ」
綱吉は日陰を愛する。平和な日々を望む。普通の日本人としての日々を。
………そう、何気なく呟くように言えばザンザスは其れをハッと鼻で嗤った。
「そうやって生きていってお前の何が満たされる?お前はもうボンゴレの血に目覚めたというのに?」
馬鹿くせえじゃねえか。そう一刀両断する。綱吉は彼とは生きていく世界が違い過ぎるのだという
意識がまた一層強くなったが、…しかし、それもまた正論だろうという理解もあった。
リボーンも言っていることだ、誰がお前を放っておくというのかと。
ボンゴレの血。ボンゴレの血。目覚めたボンゴレの血。綱吉は血に目覚めれば容易く骸の山を跨げるのだ。
さあ、一体誰がこの忌まわしき血統を放っておくというのだろうか本当に。綱吉の道はただひとつだ。
ボンゴレのボスの座に就く。危険物はキケンブツの中に放り込むべき。
きけんぶつ。その言葉を改めて口内で転がせばふっと笑みが口許を彩った。不幸に酔っている。
まるで三文小説のヒロイン気取りだ。諦めるしかないのだろうかと、そう、……ザンザスに
出会うまで綱吉はうつむいてた。
『ザンザス』
初めて見た印象は闘犬だった。漆黒のつやつやとした毛並みの獰猛な、ギラギラとした眼差しは確かに殺意に
みなぎっていた。…ああ、だからあの時安堵したのに。お前なら俺を覆い潰せてしまう程に強いだろうと。
きっとこんな(馬鹿げた)決定に大不満だろうから、何かしらしてくれるだろうと、
ボンゴレ邸での初顔合わせの時に期待したのに。それなのに…。
裏切ったな。
それだけが脳内でキシリキシリと悲鳴をあげた。うらぎったなうらぎったな、ウラギッタナ!!
ザンザスはボスの座をかけての挑戦状も裏工作もまったくせず、ただ、ヴァリアーという組織の長に納まった。
生まれた瞬間から定まっていた運命を横から黄色人種に掻っ攫われても彼の矜持はなにひとつとして揺るがないのか、
そのあまりにも強烈な印象、綱吉に持てる筈もない鋼鉄の誇り高さに目も眩まんばかりに憎悪した。
何故だ!何故、奪おうとしない返却を求めない!!これは俺のじゃない、お前の物なんだ!!
まるでこんな運命をザンザスから与えられたようだと錯覚さえした。傲慢な顎の角度、
いつも見下すような目をする。綱吉は唸った。心中でどれだけグルグルと唸ったことだろう。
ザンザスの硬い顔には一片としても敗者だとかそんな負の色はまったく見当たらず相変わらずの
王者の気風で肩をいからせ道をまっすぐに進むのだから。確かに綱吉は彼の運命に関与した、
引き摺り下ろしたのだ、それなのにそれなのに自分こそが彼に射落とされた獲物のように
無様にバタバタと手足を動かしもがいてるようなのだから。
「……そうだな、恨むとかそういうものを抱いていないと言ったら嘘になるだろうが、だがしかし
俺もボンゴレの血統を持つ男だ、そして俺は血に飢えてんだ。そうして導き出されたのは
俺はボスのなんてちっさい椅子に座ってられねえってことだ」
ガッ!とザンザスの腕の中にまた深く抱き込まれながら、淡々と、烈しい銃声など遠くの出来事のことだと
押しのけるような低く響く声が綱吉の耳と心を震わせた。早速のお出ましかよ!!と彼らの部下が
狂気と愉悦に滲む声と所作で襲撃者を殺していく。ザッ、ザッ、ザシュ!と血飛沫と断末魔の悲鳴、また銃声が
タタン!と頼りなく。今夜は外で密会があった。そこに襲撃とヴァリアーが。綱吉は突然のことに咄嗟に胸元の銃を
探り、だがそれよりも早くに目の前が渇いた漆黒に潰された。ザンザスだ。ザンザス…!!
耳のふわりとした羽飾りが翻り彼の鋭く真っ黒な視線が自分を見つめ、そしてふっとそれた時に
綱吉の中で何かがパキンと割れた。ガラガラと今がどういった状況なんだというのも見事に砕けて崩れ落ち、
叫び出しそうだ、息が詰まる、喉がガクガクと引き攣り、綱吉は彼が状況を冷静に判断し周囲を隙間無く
伺っていて己の命がこの男にかかっているのだということも忘れ…、いいや、『この男の手の中にいる』
『命を握られている』が最大の禁断の呪文だったのだろう、綱吉の理性は弾けた。パン!!と限界まで
空気を詰め込まれた風船よりもきつく素早くに。
「なんのつもりだよ、てめえーー!!!なんで俺がこんな目にあわなくちゃなんないんだよ!!!
なんでお前が継がない!!?どうして俺の存在を許す!!?なんで恨むとかそういうことさえ
しないんだよ馬鹿野郎!!!!」
いきなり。大人しく守られていたかと思えば…、そんないきり立って青筋浮かべられながら叫ばれれば
さすがのザンザスも目を見開いて驚いた。だが、現在は戦闘中である為、ある種のスイッチが入ってる彼は
冷静だった。冷静にてきぱきと綱吉の殴りかかってきそうな気配も感じ敵の数も把握し方向も察知し、
ガッと毛を逆立てた状態の綱吉を問答無用に胸に抱えて部屋の外へと出たのであった。
「……それで隠れたつもりか貴様」
ガチ、と側頭部に銃口が押し当てられた、すこし、あつい……。うってきたな。綱吉はそろそろと両手を
上にあげて、降参のポーズをチッ、くやしーなーとか思いながら仕上げた。此処は
あの屋敷からそう遠くもなく、噴水もあって東屋もある。夏頃など、噴水の水飛沫の方向からやってくる
風が涼やかで心地良かったりするのだ。
「もう、ここらで休戦ってことでいいだろ」
「崩し将棋で決着だな」
「よく知ってるなー」
「ああ」
「……………」
チャッ、と。ザンザスが銃を元のところに納める。そして、東屋の中に入るとドカッといつもの
エバリくさった仕草で腰をおろしてふんぞり返る。綱吉はそれにやれやれといった苦笑をこぼし、
あーあと盛大に溜息を吐いて大きく天を仰いだ。ここは日本じゃないのに。空を、空の青さだけ
求めれば日本に居た頃のような気分にだけはなれる気がした。青はあまりに深すぎて見つめ過ぎると溺れそうになる。
「………ねえ、あの時と同じことをもう一回いって」
空は青い。青は憂鬱の色だというのにどうしてこんなに明るいのだろうか。
「俺の遺骸を絶対に日本に持って行ってくれるって約束した時にいった言葉を」
ザンザスも空を仰いだ。だがすぐにすっと黒い目は綱吉のさらされた細い喉に吸い寄せられていった。
阿呆みたいに天を見上げて、後ろに背中をぐっとそらし、両手を空によろよろ伸ばしている。
あの襲撃の時、綱吉は心中の全てを吐露し、ザンザスはそれら全てを強引に聞かされた。
最後は泣き声交じりの愚痴だったが、……とりあえず彼は現在の状況が多いに不満ということだ。
そんなことは出会った時から解っていた。彼は自分を略奪者のような目で睨みすえてくれたのだから。
だが、そんな視線は不当なものだ、正当なのはザンザスが綱吉を簒奪者のような目で見ることだというのに。
奪った側が奪われた側を恨むというのも全く奇妙な話だ。
「そうだな。ボスの座など俺にとっては『お前にくれてやる』という代物なのかもな」
「!!!」
「だが、それもお前が俺を憎むからだ。お前の拒絶する心が俺の空白を埋めたからだろう」
「……なんっだよ、それ!!」
「なんだろうな?……ああ、そうだな、俺も全然わからんなあ…。だが、ただひとつ言えることは」
クッと彼は冷たく嘲笑った。しかしどうにもがらんどうな印象がポツンと宿った笑みで
その印象が何処か気持ちを温かいものにする。外道。汚れたぬくもり。綱吉は、食い入るように
瞳を見開き爛々と光り輝くまんまるな月みたいな其れで彼の顔を覗き込んだ。さあ、いえ、いうがいい。
じわっと犬歯がうずく。甘く牙がはえそうな気分。綱吉の胸が期待で、ドキドキと、それもまた外道な性根。
「お前を殺していいのは俺だけだ、それは確かだからだ。お前は俺のモノを奪った、その穴はお前の命で
贖い切れるものではないが俺の心に区切りはつくだろう」
「………は、」
は、ははは…。カラカラと、間抜けに開かれた唇から綱吉は渇いた笑みをカランと零していた。
今、確かに。お互いがお互いの致命傷を抉りあった。綱吉はカッと目を見開きザンザスを映しザンザスは
伏せた目の先に綱吉の白くなるまで固く握られた拳を見つけた。………ザンザスは、ひとつ溜息を吐いた。
苦いものだった、その胸に宿ったものは。気付いた時にはもう魂に癒着してしまったかのようにどうにも
引き剥がせないまでで。そうは思い知ってしまっても奇跡に縋るように否定を望むように
カリカリ、カリカリと爪先で何度も何百も鋭く引掻き未練がましく其れを繰り返した。ああ、だがもう。
ザンザスはすっと目線を持ち上げ、固く清い眼差しを歪にした琥珀の瞳をまっすぐに見据えた。
躊躇うことはもうおしまいだ。(そして、こんな自分にずっと躊躇い続けるだろう…。)
「出会った時から、いいや、…お前の存在を知った時から決めていた。お前を殺すのは俺だと、そして
屍をボンゴレに残さない。誰にも触れさせずに誰にも見せずに何処かに埋めてやると、」
そう、お前の故郷にあのちいさな島国に。一度だけ訪れたことのあるあの国はザンザスにとって
奇妙な印象しかなかった。不快ではあった。だが彼の国なのだろうと頷けた。空を眺めた。
大空は何処でも変わらずに真っ青で、…そうか、そうだなと思い出す。思い出した。綱吉の横顔。
「……せめて、死体だけでも帰してやろう、お前が望む世界に」
綱吉の瞳はいつだって切ないまでに遠くの青空を眺めていたのだ。
羽を毟られた鳥の眼差しで綱吉はわらった。囀る声を忘れたカナリアのように恨み言をもらしそうな唇を引き締めて。
「お前が俺のものを奪い盗った同時に俺はお前から最大の望みを奪った。その図式の正しさがお前の
心に区切りをつけることが出来るというのなら、…それは、死体も名前もボンゴレに残さないこととすれば、
お前の中の何かが救われるんだろ?」
俺に望むか。ザンザスは呆れたような、また、奇妙なじわじわとしたものに背中を焦がされつつ、綱吉を
見下ろした。つるりとした人形のような瞳がまっしろな色でじぃっと見つめ返してきている。
迫力はない。だが炎のような烈しさが底で渦巻いているのが解った。しろく震えた唇からぼろりと言葉が
滴る。
「そうだよ…。俺はいつだってあの日常に帰りたいんだ、けれどもそれがとても無理なことをよく知っているから、
だからお前に縋った…。縋ったけれど、お前もまた俺に縋るのか」
どうして。そう呟きながらも答えは常に脳裏にこびり付いている。ピチャリ。
嫌な絵だ。こいつは血塗れになっても戦う生き物なのに俺は血を被って笑わないといけないのか。
こいつは背後を守る。俺はなにをまもる?(まもりたいもの、か……)
綱吉はククク、とわらっていた。
「お前もやはりボンゴレの狗だ…!ボンゴレは呪いをかけている!何で誰も俺が相応しいと思うんだよ…!
ザンザスの方が血筋としては正当だ!!俺になんかもう血なんか通っていないのに…、どうして、俺が
ボンゴレの血を持ってるんだよ畜生…ッ!!」
「……解るかよ」
綱吉は誰よりも『正統』な後継者だ。それがボンゴレの血を最も濃く継いだザンザスだから解る。
解りたくもなかったが。綱吉こそが、そうだ…。こう直感した時の屈辱を誰が解るか。
そして、認めてしまった感情は……。
「ねえ、もう一回いって」
東屋の下で青空を眺めながら目を細めるちいさな彼。声はやわらかく蜘蛛の糸のようだ。美しく、霧雨のように、
澄んだ音色のように優しくからまる銀糸。ああ、絡められたのは…。
ザンザスはくっと嘲った笑みを口許に浮かべて、ああ、と応えた。
お前が。そう…、お前がのぞむならば……。なあ、『ボンゴレ』?
「ボンゴレはお前で絶える。其れはお前のせいではなく、お前を選んだ奴らの結果によってだ。
お前などを選んだ奴らが悪い。そして、俺を振り落とした奴らの目も悪かった」
満足か。そう続けて唱えれば、ひょいっと顔をザンザスの方に戻して綱吉は屈託なく元気よく頷いた。
うん!少年のような瞳がきらきらと喜びに揺れる。其れがお前と俺に出来る復讐劇だ。
重ねていってやれば、ふんわりと優しくわらった。破滅の王。きっとそう呼ばれるのだろうこの男は。
過去最悪のボンゴレのボス。過去最高のボンゴレのボス。その両端を見事に手に入れるのがこの優しい笑顔の無邪気な男。
この男だけだろう。
(そして俺が従う…、いいや、こいつの願うことの為にどんな事でもする俺は、……一生、こいつを殺す瞬間にもその後にも
迷うのだろう。心は奪われていたのかと。)
本当にこの男を殺して決着がつく心があったのか。無性に喉が渇いたが、ザンザスはそれを無視した。
(終)
**アトガキ
非常に難産だったんですよコレ!でもなんとかオチがついてよかったよかった!
曲との折り合いがとっても微妙だぜ☆(…開き直ったなこやつ!)
(2006/07/25)
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