ああ。泣きそう……。









きみのなみだ










泣いていた姿をずっと昔からみているから。今更ここで我慢したところでなにがマシというのか また何が君の中で立つというのだろうか。おかしいとは思わないのか涙涸れないだろう君よ。 まるで君の涙は海に繋がっているかのようになみなみとまだ流れ出ていくことを誰よりも知っている 者を目の前にして。

「泣かないの?」

………首を傾げるばかりだ。ヒバリはきょとんと首をかしげながらツナの顔をじいぃっと眺めた。 それにツナは少しギクリとしてヒバリはそういう意味じゃないよとわらった。違うよ。 君が薄情という意味じゃあないから。そっとその冷たい頬に手を伸ばしてゆっくりとはわせた。

「しっかりしようとするのは良い事だけど我慢するのは身体に良くないよ」

にあわない。はっきりと伝わった言葉にツナはしゅんと俯いてしまった。 ツナの頬へと這わしていた手を戻しながらなんでかな?と思う。 なにがいけなかったかなとヒバリはずるずると壁によりかかった上体をすべりおとしながら寝転び そうして間近のツナの膝へとポトンと手を置いた。

「ヒバリさん!!」

なにがいけないのだろう?泣けばいいのに。綱吉の泣き顔はすきだ。大好物だといったら其れだけで 泣いたこともあるクセに。我慢してどうするの。何度も何度も泣いているくせに。

「ヒバリさん!!ちょっとヒバリさん!!!!大丈夫ですか!!!」
「うるさいよ綱吉」

こうしなければ君は顔を見せないのか…。本当の意味でこんな風にひとが下手に出ないと見せない顔というのは 素晴らしいじゃないか。コツコツと苛立ちのように膝をたたく。ツナはそれにきょとんとした。 膝枕してよ冷たいじゃないか。そう眉をしかめて不機嫌なヒバリの顔にツナの顔はピシリと時間が止まったように固った。

「…………なにそれ」
「だ、だって!!な、な…ッ、い、て………、いいって…ッ!!」
「そう…。鼻水まで垂らして僕の顔に落としたら噛殺すから」
「うん、…うん!!」
「はい、でしょ?」
「はい!!!」

そうか、君にとって僕は膝枕がしたくない程に血まみれで汚らしいのか。君がそんなに潔癖症だとは知らなかったな。 泣くほど嫌なのか。覚えておこう。綱吉。でも君の膝はあたたかくて心地がいいから少しだけ刑は軽くするさ。

「折角ひとが数年に一度はあるかないかの良心で君を庇ってやったのに。その恩人に膝枕が嫌だとは……」
「…は?」


あ。とまった。











 アトガキ
ヒバリさんのねじは外れてますから。痛覚もきっとない。
2005/10/2