※おまけ

























ハァハァと肩で息をしながら自分をじっと見つめる瞳。
まだ雄の色を残したままの瞳はらんらんと輝いて、落ち着くまで時間が掛かりそうだ。
初めて人と身体を繋げた時、自分はこんなに興奮しただろうか?と骸は思う。

「クフフ……ねえ、綱吉くん?」
「ハァ……はい?何、ですか?」

反対に、抱かれた側である骸の方はすっかり落ち着きを取り戻していた。
綱吉の視線が自分に向かい、恥ずかしそうに項垂れたのを見て骸は素直に愛しさを覚えた。

教壇の脇に散らばった自分の制服を手早く身につけ、項垂れたままの綱吉の前にしゃがみこむ。
やわらかそうな耳たぶに唇を近づけて、囁いた。






「また、会いましょうね」







そして、骸は綱吉の前から姿を消した。





























「……というわけで、綱吉君から隠れようと思いまして」
「はぁ」
「えー、せっかく両思いなのに、どーしてですかー?」




また会いましょうね、と言った夜の翌日。
とりあえず手近にいた人間を全員集めて作戦会議を始めた骸が言い放った言葉に集まった2人……犬、千種はそれぞれの反応を返した。

「そこなんです」

犬が何の気なしに言った言葉にびしり、と指を突きつけ骸は椅子に踏ん反りかえった。

「確かに今は僕と綱吉君は両思いです。このまま普通に青春を味わう事も考えましたが、それでは僕の行き着く先はドン・ボンゴレ10代目の古女房でしかないんですよ」
「……古女房……ですか」
「そうです」
「……別に古女房でも構わないんじゃないです?好きなのに離れ離れでアイツに変な虫がついても何も出来ませんでした、でいいんですか」

全く興味がないけれど、逆らえないので発言してみましたという風情で千種が骸に言う。

「綱吉君はそんなおしりの軽い子じゃないですよ。実際昨日が初めてでしたし」
「……」

千種は黙った。
尻が軽いというのは骸さんの立場にある側の人間に対して言う言葉じゃないだろうか。という言葉はくしゃくしゃにして飲み込んだ。そんな事を言えば昨夜の詳細をのろけられるに違いない。

「確かにこれから綱吉君の側にいられないのは苦痛ですけど、ずっと側にいて僕が綱吉君の指導をするのはつまらないですし……僕が側にいるのに他の人間を抱かせると言うのも気に入りません。綱吉君のレベルアップの為ここは涙を飲むべきだと判断したんです」
「いや、でも、完全に隠れる必要はないんじゃねっすか。相手はボンゴレだし……相等苦労しますよ……それに、なんでヤルためだけに……」

さすがに話の内容がわかってきた犬が骸に渡されたプリントと骸を見比べながら問う。

「解ってませんね。そのほうが面白いじゃないですか」
「は?」
「初めての夜に謎の言葉を残して、僕は綱吉君の前から完全に消え去ります。連絡も取れない、居場所もわからない……それでも『また会いましょうね』と言った。そんな人間を心の奥底でずっと覚えてなければならないんですよ……それこそ、僕を見つけるまで何年も」
「げ」
「忘れられない僕の記憶。それがどんな風に綱吉君に作用するんでしょうね……他の人を愛するかもしれない。でも忘れられない。クフフッ……クハハハハ」
「うわ」

犬はずざっと骸から離れた。

「さて、こうしてもいられませんし出発しましょうか」
「どこへですか!?てか今から!?」
「当面の潜伏先は香港です。ディズニーランドも出来ましたしね」
「えー!?」

いつのまにか、どこからか大きなトランクを出してきて犬に持たせ、骸はさっさとドアに向かって歩き始めていた。

「あ、待ってください!骸さん!」
「ほら、ヨーゼフにペーター。あんまり遅いと置いていきますよ」

「ヨーゼフ……?」
千種は犬を見た。
「ペーター……?」
犬は千種を見た。


何故骸が彼らを『アルプスの少女ハイジ』風に呼んだのかは、10年後スイスで明らかになる。










(終)







うっかり見つけてもがっくりしないでねw
これがないとスイスにした意味ないのですw
2005/11/23