『デーモン聖典』パロです。※白泉社・花とゆめコミックス。現在8巻まで発売中!
なんかね…、読んでてね、『うわ…ッ!!これは!!』とか思ったもので。えへ!!!(汗)
とりあえずささーーっと書いてみました。『デーモン聖典』知らない人には何が何やら解りませんとも!! (相変わらず不親切な!!!!)
ええと。『デーモン聖典』の内容は近未来、主人公は双子の妹の女の子14歳。 双子の姉は逆行症候群(リターン・シンドローム)という奇病にかかっていて現在9歳児の姿。 その病は実はデーモンという霊的存在に触れたことにより引き起こるもので、本来ならば瞬時に 消滅してしまう程に退行してしまうが、お姉ちゃんは特殊事情によりゆるゆると退行状態。 その病気を直そう、二人を守ろうと頑張ってる、 双子が天涯孤独の身の上になった頃から引き取り面倒をみている青年『忍』。主人公の妹ちゃんが 『鎖』という存在の為に支配されたデーモン『K2』とか双子の母親に支配されたデーモン『ミカ』とか、 イロイロ出てきてなんだかんだですー(おまっ!!はしょりすぎだ!!)
とりあえず配役は 『ヘルムート』⇒ 骸 ・『忍』⇒ ツナヨピ でお送りいたしております。


































綱吉は骸がどうしても恐ろしかった…。彼は聡明であり優しい兄である、だがしかしどうしても どうしたって身も心も彼が傍に居るのだと知覚した途端にゾワリと総毛立ってしまう。 なんという恐怖だ、なんて酷薄な冷たい嫌悪感、其れが魂にギリギリと牙を突き立ててくるのだ。 彼は本当に優しく慈愛に満ちた笑みを 綱吉に惜しみなく向けた。さらりとすべる黒絹よりもしっとりと艶やかな髪をなびかせ絶世の美貌でもって 優しく微笑み愛してくれているというのに…? 誰もがこの美しい兄を愛し尊敬し崇拝した。その兄は、骸は綱吉だけを見つめ殊更溺愛した。 其れも決して視野の狭い愛し方ではない、彼は決して綱吉を縛ろうとはせずに 綱吉には充分な自由を与えられ弟の望むことであればと何でも許された。 そして彼は弟が兄を拒絶していることさえよく解っていた、それを理解し的確な距離感を保ちつつ 弟の気持ちを気遣いながら手を伸ばし、さっと去る。微笑みながら常に。やさしい。綺麗な旋律のように 大切に愛を奏でた。決して押し付けがましくもなく光のように。 だが其れでも綱吉は兄の愛に応える事など出来ず、綱吉の中に混乱と混濁、そしてまた新たな恐怖が生まれ出た。 望めば許された、だから六道の家を出て 母方の姓も名乗り……、本当は六道の家とは縁を切りたかったのだ、そして骸とも。 彼と永遠に出逢わないことさえ願っている。……けれども、出来ないのだ。 歯噛みしたい思いだ、綱吉には骸を遠ざけることは出来ても縁を切ることだけは決して出来ないことを 何故か強くもっとも認識していた。 綱吉に彼の愛を受け入れる場所など何処を探しても引っ繰り返したとしても絶対に見つかりはしない。 それほどにまったく無い。優しく伸ばされた腕も歯を喰いしばって耐える有様だ。 彼からは恐怖と嫌悪しか思いつかない。背筋も凍る闇の底。彼の名を呟くだけで 肌の内側からざわざわと何かが這い回り心の臓を鷲つかまれた気分になって酷い吐き気がする。 彼がどんなに優しく聡明か、彼がこの世に稀なカリスマであり人の希望であるのか、 彼がどれだけ自分を労わるか、彼がどれだけ自分を愛しているのか…。 わかっている。だが、彼の向ける全てが綱吉には恐ろしくてならない。怖い。 彼を愛する人々にさえ恐怖する。何故だ何故だ…!どうして解らない彼は……!!
何故彼を愛してやれないのか、何故だ、何故この心はこうも彼を拒絶するのか理解出来ない。 彼が自分に手酷いことをすることは無かった。だが、綱吉に拒絶されている事をよく知り、それでも尚甘く 微笑み両手を開いてのばした。……つらい。綱吉には彼の存在の意味が解らない。 解ろうとも思えない。頭を掻き乱し思う様叫んで此処から逃げ出してしまいたい。 本当に、……本当にただ彼の居ない世界で暮らしたいだけなのだ。彼が居ない世界を 渇望してしまう。ひとでなしなのだろうか。いいや、ひとでなしはあちらだ、こんなにも 綱吉は拒絶しているというのに放っておいてくれない無慈悲な兄の方だ。


「…どうしてですか!」

綱吉は叫んでいた。ガタガタと心が魂が震えて軋み悲鳴をあげている。骸は相変わらず優しく微笑み、 どうしたのですかとゆったりと問いかけた。何を怒っている、何を恐れている、何を…? それが解れば綱吉もここまで追い込まれなかった、骸の瞳が問う全てを綱吉は随分前から 己の中に放り込んでいるのだから。そして答えなど未だに…。綱吉はこの目の前の兄がおそろしい。 人類の希望を握る彼、人類の絶望さえ手にした彼…、とうとう、手にしたのだ。

「どうして…?此れが最善の道だからですよ。此れが人を生かす道、世界の望んだ形ですよ」

にこり、本当に悪びれもなく微笑む、やさしく、無邪気だ。……ゾッとした。
口の中がカラカラだ。綱吉は目を見開き、カタカタと震えだした。ああ、そうか、彼は結局のところは…。
ぎゅっと力なく、それでも我が身を支えるように綱吉は両腕で抱き締めた。

「…む、…骸は、結局、誰も大事じゃないんだ。常に人を見下してる、きたないって思ってるんだ…!!」

綱吉は本当は気付いていた。骸の冷淡なる輝きの光彩を。慈悲深い。だがばっさりと切り捨てる。 この人は知っているのだ、優しさも残酷な手法であると追い詰めることになると。情けをかけながらも プレッシャーを与えて内から壊れさせるのだと…。そして、綱吉から彼の冷酷な部分など見れないように と隔離されていただろうことさえも。今なら、はっきりと目に出来る…。知っていた。彼を恐れる瞳が 大勢あることくらい。自分と同じ目で見ていた人間などたくさん居たことも、その人たちがもう 生きていないことなど、………知っている。ぽたり。綱吉の両目から涙が盛り上がる。

「俺はもういやだ…!もういやだいやだいやだ!!一秒だってあんたの傍に居たくも無い!! 俺はもう耐えられないんだ!!だから骸の傍を離れたのに!!なんでそっとしておいてくれないんだよ兄さん!!」

あいされてるなんて、溺愛された弟だなんて、そんなの真っ赤な大嘘だ。自分は骸にこの上もなく恨まれている。 妾の子供を由緒正しい後継者が弟と認めるわけがないのだ。幼い頃の記憶がないのも、彼に苛め抜かれたからだと 知っているのだ。骸。……やさしい兄の仮面を被った男。 綱吉はぼたぼたと涙を零しながら必死に大声で言い募った。もう放っておいてくれ。もう、何もいらないから、 いらないから、アナタのすること全部に協力してもいいからそっとしておいてくれと。 ……綱吉には、温かく自分を迎えてくれる人達が、大事な家族がいるからと。

「お、ねがい…、だから、…おれたちを、おれを…、大切な居場所にいさせてよ………!」





(続)











 アトガキ
とりあえず、続く!!(ほっぽいたのをここであっぷするのはどうかと思ったが…)
2006/05/31