『 絶望と背中あわせのようだと君はいったけれど、でもきっと分かっているのでしょう。
  本当の絶望は別のものなのだとお互いにもう知っています。 』











真夜中よびだされる。






おぼえていてほしいといって笑った彼の言葉をきっと自分はわすれてしまうのだろう。(それは彼も承知の筈なのに ニコニコと笑うものだから俺は手元にあった缶ジュースの蓋へと視線を落としてじっと見つめた。) (…ああ、これも彼がくれた物だ。) いいよ、と。俯きながら呟いて、目線を横に流しながらきっと本当に心から絶対にこんなことは おぼえていられやしないんだと確信にどっぷりと満ちていた。うそを吐いた。後ろめたさなど感じないほどに 堂々と真実の裏側をなぞっている。
お前だってきっと忘れてしまうんだ。(カツカツと缶ジュースのプルタブを何度も爪先でいじくっていた。)
それなのにおれたちはそんな嘘を欲しがって恋しがって寒い夜の底で冷たい缶ジュースを持って座っていた。
わすれないよ。
もう一度つぶやくとあいつはまた丁寧にニコリとわらった。
ふっとあげた顔にそれはまっすぐに映った。なんて絶妙なタイミングだろう。 いつだってあいつは笑顔でおれのなにもかもを許しすすいでいく。汚れた手で美しいものをつくった。 いつも間違った道に突き進むくせに何処かがいつだって純粋なのだから。

「うれしいなあ綱吉くん」

忘れたくは無いのだとはいえないおれは 覚えていようと必死に願ったことだけは覚えていたくていたくて…、一度あげた顔をまた伏せて 口許を必死に歪ませた。なんだか不思議と泣きたくなったけどわらいます。




(終)











 アトガキ
輪廻シリーズ!とか銘打ちますぜ…。(じゃないと意味わかんない話だよ!!)
2006/10/22