きみさえいなければ。憎悪を込めて骸はうなった。きみさえ…。その言葉を何度として虚無と失望と絶望の 狭間で呟いたことだろう。彼は熱帯夜の闇のように膿んだ熱をはらみ骸を嬲り包んだ。じくじくとした 痛みが目の奥から叫びあがる。きみさえと、また骸は歯軋りしながらつぶやいた。きみさえ…。 この言葉は憎悪の象徴、と同時に骸に望まないものを突きつける。きみさえきみさえきみさえ…。 深淵をなぞるような言葉。低く低く…、獰猛な声で暗鬱な響きでいつだって骸の脳内をどろりと何度だって巡り行く。 きみさえ。

………きみはわるくないのだ。

ぱたりとおちる雫。血色。きみは…。骸にはよくわかっていた。きみさえいなければと仮定を繰り返すのは。 つなよし、名前をそっと呟けば鮮やかにさあっと浮かび上がる笑顔。きみは、きみさえ、…きみを。 骸は今生において此の不運をひどく嘆いた。彼さえ居なければ己は自由なのだ。また彼を失う不幸もなかった。













だからこそと僕はつぶやく【背面】












 アトガキ
こっちは1月24に某所にかいたものなんですけどね。繋がってるみたいだよね★
2007/03/25