ぽん、ぽん、ぽん。
彼の掌の中で自分の手は容易く軽くはねて、ちいさい手だなあとヒバリは面白そうに呟いた。








てのひらに花よりも。










ヒバリがツナの手をとって、まるでお手玉のようにして遊ぶのは割りと多い。 その度にそれの何処がどんな風におもしろいのか首をかしげるばかりなのだが、けれども 本当にウキウキとした目をするものだからグッと言葉を飲み込んでしまう。

「ん?」

ゴクリと喉が鳴ったと同時にヒバリが目を向けてくる。なに?と。 無表情で能面みたいな顔なのに君の喉が鳴ったのが不思議なんですといった印象を受ける瞳が まっすぐにツナへと向けられた。

「……おもしろいんですか?」
「まあ少しは」
「すこしですか…」

ぽん、ぽん、ぽん。また再開された。
本当にこの手は彼専用の玩具といったところなのか。ツナは溜息を吐きつつまあいいかと少しわらう。
手がカクカク揺れる。振動は腕を伝っていく。そろりと視線をそれに延ばせば、………彼。かれが。

(あ。…これって、…)


『 猫じゃらしにじゃれているみたいか……? 』




「綱吉」

「……ッ、は、はい!!」

いつかはきみも。吐息で囁くように、ヒバリの唇が。すぅっと綱吉の視界を一瞬にして埋めていく。 赤い舌。…しろい牙。闇色の声は。クツリと笑み零して言葉をそっと奏でる。すきだよ。そうも囁きながら。 すきだよ。あいしてるんだよ。きっと、だれよりもだろうねと。

「君を自由にしていいのは僕だけだと今言わないと咬み殺そうかと思うよ綱吉?」







(終)











 アトガキ
猫様なヒバリさんはなんとなくな暇なのさきっと。(は)
2005/09/29