この先の骸様は大変壊れていらっしゃいます。
ツナもなんだか妙なご趣味をお持ちです。
多分ツナはハーレムを無意識に作っております。(……は?)

あ。一応ツナ骸ですよ?
そして骸は大変おこちゃまであほの子です。
それなのに10年後設定だから最早始末に負えないイキモノでございますね!!



……い、一応ツナは骸を愛しています、よ………………………?(なにその逸れた目線!!)






























やさしい嘘をきみに












ツナはほにゃっとした顔で目の前の光景を眺めていた。執務室。ボスのおっきな机の上には書類がいっぱいドンとあったが、 今はちょっと許してもらった休憩中なので、そんなの無視して手を止めてツナは机の上に懐きながら首だけ器用にきゅっと上向けて。 ……ああ、やっぱり至福だなあ眼福だなあなんて書類詰めでくらくらする頭を癒していた。

「………てめえ、さっきから何気色悪い顔してこっち見てやがる」
「えー?」

どうせ疲れた顔なんか大概気色悪いもんでしょーと空々しく述べながらツナはへらりと笑った。 別にいいじゃんか減らないじゃんかと言い加えればリボーンは嫌悪も露わな顔ではっきりきっぱりと、減る!!と 断言した。おやおやそれはつれないことだねぇなんて言ったら弾丸が飛んだ。

「綱吉様!!」
「撃つことないじゃんか…」

ぎょっと焦ったランチアがリボーンの前に出てバッとツナを背中に庇う。割と出会った頃からこんなことは日常茶飯事な (というか実際何度も何度だって撃たれてるし、この疲れきった躯にその弾で喝を与えるのもいいかなあなんてツナは思った。 その思考こそがすでに最も修復が必要なヤられた回路であったのだが本人まったく無自覚だ) ツナ的言語録から言葉を引っ張り出してみたら『リボーンもやんちゃな年頃なのさ!』であったりする。 だがツナから其れをそうなんだと何度言われたところでランチアや獄寺から見ればコレは心臓にグサッとくる衝撃映像でしかない。 当たれば確実に死ぬんだから!そうとしか見えない。なのに、死なない死なないからとけろりと 言ってのけてしまうのだツナは。 まさか…、銃に『ミネウチ』というものがあるのだと思っているのだろうか…?と 彼らはゴクリと喉を鳴らしながらとてつもない不安に襲われていたりする。

「ったく。休憩はもうしまいにして書類をやれ書類を!」
「え〜〜〜。もうちょっと休憩でぇ…、眼福がほしいよぉ〜!」
「ああ??」

眼福だぁああ??リボーンの目の下の筋肉がぴくぴくと引き攣った。眼福。目のシアワセだ。眼福。 ………見ていたのは、、、、、、自分だった。オイオイ俺絶対こいつ殺してもいいんじゃね? 誰も責めねえって思うわけだがなぁ??とリボーンは暗く物騒にククク、と笑いながら一度は仕舞った愛銃を 再び懐からずるっと取り出し始めた。それにガタガタガタタッ!!とランチアが反応してデカイ図体で 必死にツナを庇った。やめてくださいリボーンさん!!そうはいっても彼が自分のいうことを聞いた試しなんて ちっともありやしない。器用に。ほんとーーーうに器用に自分を避けてツナを狙うのだ。 (そして当たらないのだ。だが今回はきっと当たると思う!!)

「だってさー。目の前にランチアとリボーンがいるんだよ?滅多にないじゃんか」
「あぁ…?」

ピタ。一応は理由を聞こうという気はあるらしい。そりゃ自分をじろじろ眺めて眼福だーなんて有り得ない。 何かの要素が加わってるに違いなくて、それを知ってからだって遅くはないだろう。リボーンはそうだなと 頷いて銃を一端下ろした。それを見てランチアはあからさまにはぁ〜〜っと長い安堵の溜息をつき、 背中をつつく主の言うとおりに少しだけ横にどいた。ツナはニコリとわらって、ランチアを見上げ、 そして。

「だって二人とも生え際っぷりが似ててさあビフォーアフターみたいなんだよねvv」

「……………は?」
「…………………」

「なんてゆーか、生き別れの兄弟みたいでさぁ、揃うと何だかほわんとするんだよなぁ…。 それにさあ二人の後姿って本当に未来と過去なんだよ!!すっげ笑うから!!髪型似てて 目つきが物騒なだけでこれだけ似るのすごいなーって思うんだよ。うんうんvv」

「…………………」
「……ほう」

ガキン!と撃鉄が落とされた。ランチアは心酔する主の言ってることがよく解らなかった。 …いや、解りたくはなかった。これでも昔ちいさな電波系なおかしな子供を一匹任された事もあるのだから。 と、彼とこの方を比べてはいけない!!ランチアはイケナイ思考を振り払うように頭をブンブン振って 気持ちを切り替えた。主の命が危険だ!!

「ああ…、リボーンってこんな風に大きくなるのかなぁって思うとウキウキしてさあドキドキモエモエそわそわだよ!! 赤ん坊の頃はくりっとした目だってのに今では涼やかだろー?そんで更におっきくなったらこんな物騒な目つき!! 最高だよリボーン!!!!」
「なに気色悪いこといってやがるてめぇ!!!!つか、てめえはいつから俺のおかんみたいなっとんだ!!!」
「だってだってだってリボーン可愛いし格好いいし物騒だから!!大好きだよ!!愛してあげてもいるから!!」
「んなのいらねえっつてんだろうが!!!大体てめえのそんな尻軽な言葉に誰が嬉しがるってんだ!!!」
「え!!?僕はすっごく嬉しいんですけど!!!?」

にょん、と。骸がツナから生えていた……。否。ボスの机の下からはえていた。いえ。
ボスのおっきな執務机の下にずっとずっと静かに気配殺して潜んでいましたのですね骸さん?…だな。
ツナはいきなり目の前から生えた(?)骸にビックリして目をまんまるに見開きぱちぱちと瞬きを繰り返した。 わーお。誰かさんの口癖が思わず間延びながら唇からもれてしまう。 骸は、んしょ、っと。えらく可愛い掛け声なんか呟いてずるるっと机の下から這い出してそして、 ぺたっとツナの膝に懐いた。

「まぁた、執務机の下になんか潜んでなんかしてぇ…。ほら、お菓子持ち込まない。ちゃんとあとで掃除しなよ骸?ん??」
「はぁい」
「うんうん、解ってないみたいだねぇ…」

骸の唇の端についたスナック菓子の屑をくいくいと指先で拭いてやりながら…、 本当に手のかかる人だなぁとやれやれまったくなんて苦笑をこぼしたりなんかしてるが、 実際ツナはほのぼのとしていた。 だって。 この骸の顔はヒバリの美貌と同じ系統の涼やかで艶やかなしっとりとした極上美麗。 其れを自分の前ではこぉんなに阿呆面なのだから。あはは〜と思わず笑いが漏れるというもの!

「…あ。そういえば、さっき報告であったんだけど。この前うちの取引ぶち壊した男を殺しちゃったんだって? そしてそいつの所属するマフィア幹部も壊したって聞いたけど?この前遊んでくるーとかいってたのは其れだったの??」
「はいvだってムカつきましたから」
「どこらへんで?」
「ん?だって綱吉くんのことをショタコン呼びしたって聞きましたから!」
「…あーーー。俺がリボーンに誕生日プレゼントで結構しこたま金使ったっての結構有名だからねぇ」
「言っておくが、あれ捨てたからな」
「拾ってまたリボーンの部屋放り込んでおいたから」
「てめぇ!!!!!!」

とうとうツナの膝の上に乗りあがってツナの頭を自分の頭をこつんとぶつけて懐きながら抱きつく 骸と平然と会話しながら、ふとぼそっと低く呟いたリボーンの言葉にニコリとツナは返してあげた。 リボーンと白い兎。かっわいいなぁ!とか思ってほわほわもこもこうささんぬいぐるみを 大、中、小、ミニミニ、とっくだい!とかまで様々なサイズと種類集めて合計100羽以上?くらい あげたのだ。勿論リボーン怒った。烈火の如く怒りましたとも!でもついでにごっついライフルも あげたので微妙に機嫌は直ったのだが…。むむ。だがやはりウサギの方はぽいぽい捨てられる。 情操教育には小動物との触れ合いがいいと聞くのに最初からこんな躓きをしてしまうとは。 …などとランチアに零した時、彼はなんとも極上の苦虫を噛み潰した顔で、お、おとこのこですから ぬいぐるみは駄目なのでは…と、ぼそぼそと答えた。あ、そっか。自分も其れ貰ったら嫌だよなあなんて ツナはその時思い至ったが、まあ、かわいいし?あげとけあげとけーと開き直ったのだった。そして捨てられたら 即リターンもさせてる。決してイヤガラセではない。愛だ。
と。そんなことを知らないリボーンはガシーンと足でお行儀悪くも扉を蹴り壊して自分の部屋へと即刻行ってしまった。 ははは。ういやつめ!と絶対彼が居たら標的になりそうなことをツナはふふ〜んと呟き、骸の頭をなで繰り回した。

「…で、綱吉くん」
「はい、なんでしょう?」

そろそろ書類するかなぁと骸をランチアにどかさせ(その際骸がいやだいやだてめえ何様のつもりだこのパンチラが下衆!とかまで 言って抵抗したが、ツナが問答無用でゴス!とその頭を殴ったのですんなり?どかせた)、そしてさくさくと 捺印していく。骸はだらんとソファの背に懐くようにしながらその仕事ぶりを見ていたが、やはりどうにも暇だった。 せめて先程のように体温や匂いが近いならなんとかそうでもなかったというのに。暇だ。コテンと。溜息と共に 額をくっつけてみてもおもしろくもない。ソファは無機物だ。綱吉は温かいイキモノなのだ。

(そういえば…)

さらりと己の前髪が映った。さらさらとした直毛の黒髪。……そして、じっとランチアの髪を見てみたが、アレ剛毛だ。 自分となんと髪質の違うことだろうか。けれど、つなよしはアレが好き…?あの子供も好きだ。…ふーーーん??

「綱吉くん…」
「はいはい、なんですかー?」

と。………ぶふっ!!!!!
一拍くらいの空白を置いて思わずツナは噴出していた。そろそろ骸が駄々こね出すかなあと思ってちゃんと 書類から顔を引き剥がしてひょいっと顔をあげて目を向けてやったのだ。だ。そしたら…。なんというか。 懐かしい衝撃映像見てしまった?というもので。ちなみにツナに兄弟は誰一人としていない。 生まれた時から生粋の一人っ子だ。 けれどもボンゴレ十代目候補となってから幼子たちが溢れ返り、なんだかんだと子供の世話が板に ついてきてしまっていた。そして、現在では多分子供好きの類にはいるのだろうと冷静に自覚していた。 そんなツナが今の目の前にしたもの、懐かしい懐かしい、ちいさなしたたかな企みというものだろうか? 本当に、ああ、なんて懐かしい!ツナはカタカタ肩をふるわせ、噴出した後大声で笑いだしていた。 喉奥が弾けていく感じ。溢れ出してくる感情。暴風が吹き荒れるようだ。

「え!!だ、駄目ですか!?綱吉くんのお好みじゃないんですか!!!」
「い、いや、、!そ、そ、…そういうことじゃ、あ、…なくってですねぇ!!」

ひぃひぃと瀕死の体でツナは身体を折って、バタリと机の上に伏して笑い転げた。骸は可笑しい。 自分と同じくらいの年齢の身体を持っているくせに、その魂が抱える記憶なんて自分と桁外れに膨大だろうに その精神は驚く程に幼い。ああ、か弱いというものなのかもしれない。心を閉ざして痛みを感じていかず、 知ったフリで解ろうとしなかったから成長がとまっていたらしい。頭がとんでもなくズバ抜けてよろしいので 出来た芸当だろう。それで過去、自分は大変な苦戦を強いられたものだ。痛みを知らない子供程残忍なものはない。 失う恐ろしさを知らないだなんて、……だから彼を支配下に置けたのかもしれない。 大事なものを守りたい意思が何を失っても怖いと思うことのない者の力に負けるなんて嘘だ。
思い知ればいい。

「……骸」
「はい…」

彼は子供なのだ。誰よりも純粋で。大人の、其れも老人の皮を被り老獪な考え事をなぞって傷つかず生きてきた。 多分最初の生は順調に瞬く間に傷つき傷痕を強みにも変えていけたのだろうと思う。だが、幾度も繰り返され、 幾度も学習していった。其れがこれだ。精神の退行。思考能力の発達。広すぎる視野。……まあ、 精神が置いてけぼりだったのは理性で生きるのに不要だったからだろう。心は厄介だ。人間としての矜持も邪魔になる 時だって在っただろうから。だから切り捨てて閉じ込めて生きていたわけで…。

(まあ、この人の事をこんなにつらつら考えたって仕方ないんだけどね)

一言で言ってしまえばこの人は果てしなく孤独な人だ。きっと自分よりも長く生きる人なんて居ないと思っている。 其れは諦めの感情で思うものではなくて、ちゃんとピンと背を伸ばして呟いた言葉の中にあった。 彼は孤高だ、純然と。誠実さはあまり無い。大体観念がどういったものであるのかツナには計り知れない。

「綱吉くん?」

どうしたんですか、と。色違いの瞳が不思議そうに覗き込む。…ふと。ツナは思考の海から顔をあげて微笑むと、 骸もほっとしたように甘く微笑んだ。綱吉くん。すりっと猫のように頬と頬を触れ合わせてくる。 そして長い腕がゆっくり伸びてきて、おそるおそるといった感で首にまわっていく。
骸はツナにとても懐いている。ツナにだけ従順だ。多分自分は彼の深い所で欲しがったものに為っているのだろう。 ツナは時々慟哭の音を聞くようにそんな考えに思い至る。ただ、自分が与えたのは…。

「骸、俺はお前が好きだよ。俺はお前を守る為に少しでも長く生きてあげるから…」
「はい」

雛鳥に触れるようだ。

「………それと、俺は別にソリコミ好きじゃないからな??」
「ん」

彼を無償で愛し守る約束をしてあげた。彼はただ、……守られてみたいのだ。 子供のようにぬくぬくと真綿に包まれるように。絶対的な何かに縋ることを許されたいのだろう。 そうして認めたのがこの自分。優しい言葉なら幾らでも吐く人間を。

「骸、いい子だから。大人しくしてなさい?俺の仕事ならもうすぐ終わるから」
「はい…」

上手に騙してくれる人間が。ツナは自分の首元から顔をあげた骸の前髪を優しく梳くと…、 先程の暴挙・前髪を自分の手でちょんまげのように掴み上げ額さらしたマヌケ姿を思い出し、 再び笑いの発作にみまわれたのであった。















(終)











 アトガキ
あほい骸がかいてみたかったのだ!!
2005/12/19