はやく殺してしまわなければ(壊される前に壊してしまおう、壊してしまいたいんだ…!!)









殺 愛












「僕はね、貴方が好きなんですよ…」

そう言葉を紡ぐにはあまりにも物騒な響きであり業火のような憎悪にまみれた声であった。すき? 其れは本当なのだろうか。だが綱吉に嘘とは断じられなかった。だって彼の憎悪の矛先を知っている。
確かに愛されているのだろう。そうも思い知っている。けれども喉をゆるく彼の繊細な冷たく 固い指先が撒きついた。締められるのか…。ゆるやかに空間が閉じていく。くっと力が込められた。 目がかっと見開く。

「貴方が好きなんです…。だからこんな世界に居てほしくない…、僕は嫌なんです。 此れは美学でしょうか?いいえ、当然の反応でしょう。この世は恐ろしく腐臭に満たされた箱庭。 楽園を真似て、結局は失敗して放置され腐っていく。腐ることは、次代の栄養になるのでしょうか? いいえ、なりません。枯れるのとは此れは違い過ぎます。そんな可憐さなど有り得ない。 生きながら駄目になっていく」

貴方が好きなんです。再度、また固く研ぎ澄まされた声で紡がれた。 貴方がすき。其れはまるで免罪符のようだ。スキだから殺すの?目で訴えてみると、 固く凍結した瞳がふるりと揺れた。好きだから耐えられないのです。唇の動きがそう語った。

「貴方が駄目になるかもしれない。貴方が貴方のままで居られると信じられないのです」

彼の瞳は激しく飢えながらもひどく非難し拒絶した色がたっぷりと塗られてあった。 かわいそう…、思わず漏れそうになる言葉。その弱さはなんとも愛しくツナは静かに瞳を閉じた。殺されてもよかった。 おれもすき。 その醜さは美しい想いを守る為に存在しているのだろうから。


「お前が苦しいなら、そうしていいよ…。俺もきっと苦しいから」





それで君が大丈夫ならば。






(終)











 アトガキ
黒曜編ラストよんで書き散らし。もうちょっと書き足そうかなと思いつつもこれでいいかと…。
2006/01/24