『Acanthus(アカサス)』というあの教会認定保護動物の吸血鬼ツナとその養女骸様のお話でございますー。
とかいいつつもわけのわからん過去話のようなリボ様とツナヨピ話なんだよこいつああー!!(くわっ!!)←???
あ。シリアスでーす。これは書けば書くほど謎の深まる話だなあと思う。謎な話いいね!!
私には謎じゃないですけど、読む人には全くたまったもんじゃないですね!!!(殴れコイツ!!)






そういや、これギャグ路線だった筈……………(遠い目/汗)





















































覚えておくといい。この世で決して変わらないのは俺だけだと貴様は。それだけを…。

全てを失った今こそ思い出すがいい…。









A c a n t h u s












意外に冷たい横顔が似合うじゃないかと思った。 正面から見た顔はいつも柔らかくへらへら気の抜ける笑顔ばかりだというのに珍しいことだ。 その凛とした姿はまるで絵画のように、ある種の宗教画のように…、整えられ意味を持たされた美だった。 彼はすらりと立ち尽くし天を静かに仰ぐ。羽織っただけのような白いシャツがはたはたと冷たい夜風に揺れたが、 その肌は鳥肌一つ立てず滑らかな磁器のようにシンとあった。琥珀の瞳。亜麻色の髪。背中まで長く、ふわふわ、 するっとたなびいた。夜の底を静かに見据えた姿。 まるで月のようだ。銀の蝶の燐粉が振りまかれているように彼の周りではぼんやり闇が蕩けてじわりと霧散していく。 儚い夜の闇。闇は彼に触れる事が出来ず焦れている、だが無理にでも触れようとすれば白く塗り替えされてしまう。 柔らかなる拒絶と絶対の排除。全身にひたりと、強くうっすらと美しい衣のように彼は其の意志を身に纏っていた。 常に受け止め受け流してしまう彼にしてみれば珍しい雰囲気だ。

「……教えてよ、リボーン」

彼の長い髪をするりと弄んだ風がリボーンの頬を冷たく掠めた。静か過ぎる声だった、しかしとても澄んだ歌声のように 耳に心地良く響いた。

「俺が最期の生贄なの?それとも誇りなのか……?」
「知らねえよ、そんなことぁ」
「うん、そうだろうねお前は」
「俺もお前も、何がどうであれ、所詮は俺は俺で、てめえはてめえだよ」
「うん」
「ただの神だ」
「そっか…」
「俺の王はお前で、お前の神が俺だ。其れだけがこれから先絶対に壊れる事のない唯一の理だ。お前は其れだけを 胸に刻んで何処にでも飛べばいいいんだよ」
「俺が数々の惨劇を産むのだとしても?」
「だとしても。お前が曲がるぐらいなら俺は世界の何かが壊れた方がいいと思ってるぜ?」
「まるで愛の言葉だよりボーン」
「そうだな。愛かもなあ…」

愛だったらどれだけ楽なことだろうか。チリリと胸の奥が僅かに痛んだ。お前だけだ、深くそう頷いてしまう 心に僅かにリボーンは口許だけでわらってしまった。こいつだけだ、何を置いても手離し難いものなど。 ツナヨシ。静かに囁けば、ふうわり、まるい琥珀が蕩けた色で己の『神』を優しく見下ろした。

「……幾度も忘却の中に放り込まれても、お前の事だけは覚えているよ」
「ははは、よく出来た嘘だなあダメツナ?」
「うん。この嘘だけは本当にしてみせるね」
「そうか」
「うん」


そうして綱吉は旅立った。自由に、自由に。何もかもから逃げる為に。 リボーンが生きている限り死ぬ事のない躯を持って。殺される度に繰り返すだろう『出会い』を回避する為。 おまえがどこかでいきていればいい。その言葉を本当にする為なのか。互いを愛しているのは本当なのに。 きっといつか互いの『何か』を憎むだろうから、綱吉は空白の道を選んだ。


「俺は、てめえだけが唯一だったよ。きっと此れからも其れは変わらねえな…」














「なに??なんかいったリボーン?」

はたはたと白いシーツが青空の中飛んでいた。そして、なんとも気の抜ける深くて明るい眼差しが、逆光の中で まるく子供のような顔で彼を見下ろしていた。パン、と音がする。今日は風が強くてシーツがすすすっと洗濯竿から 逃げ出してしまいそうだ。彼の細い腕がすいっと新たな洗濯ものを取り出した、広げた。まっしろなシャツ。 明るい陽光の中で広げたら溶けてしまいそうだ。青い空を飛ぶ雲よりも早くに遠くへいってしまいそうで。

「お前もなかなか主夫らしくなったと思ったんだよ」
「あ、そ」

まあね。少しだけ苦笑のまざった誇らしい笑みを冗談っぽく浮かべながら、ゆるゆるとした動きで干していった。 のろのろしてんじゃねえよ、無防備な背中にそういって蹴りをかましてやりたいが、…やめた。 リボーンはふっと目を閉じ、目裏でちらちらとする気配を静かに追って思考した。コレは感傷なのか回想なのか。 どちらでもいいかとばっさり切り捨ててみても思考は止まらない。綱吉はリボーンのことなど気にせず洗濯物を 殊更ゆっくりと干していった。どうしてだろうなと思う。無性に悔しかった、腹立たしかった…。 解りきっていた事だというのに……、空の青さに泣きたくなる。

「……てめえはまた、殺されちまったんだなぁ……」

「え?」



なにかいった、リボーン?その何気ない言葉にさえ責められている気分になる。 おまえが世界の何処かにいればいい。本当に、そう、おもった。……けれども、お前がひどい目に遭う なんて本当にとても嫌なんだというのに、お前はそんな自分の辛い気持ちばかりを真っ先に忘れてしまうのだ。


















……おぼえていて。












『 お前がこの世の何処かで俺を想っていてくれるから、俺はちっとも辛くないんだよ? 』











覚えていてねリボーン。例え俺が泣きながら俺を殺す時も。


(終)











 アトガキ
続ければ続けるほどに謎のふかまる小説ですねぇ!!!(………)
2006/02/14