ご め ん な さ い 。
いやもうゴメン!えへ!てへ!げはっ!!(吐血!!?)
と、とりあえず!キイチだーりんの山ヒバ小説続編(!!?)の為のものだったりします。 アップしたどー!とお知らせに絵チャに戻ってきたら見事に去った後…ッ!! なにその仕打ち!本当に愛し合ってるのかしら私たち!?(笑)←きっと錯覚…。(※からすまるさんは他に旦那様が三名、結婚前提様一名、愛人が一名ほどいますよ…)←最悪だ!!
もういいよ!さとこさんとヨロシクしてるよ!!(オイオイさとこさんにご迷惑でしょ!?)
ちなみにキイチだーりんリクエスト『からすまるさんならツナ骸でもいいよ』小説は、 キイチだーりん亡き後(不吉なものいいだなオイ!!)絵チャでこそっと公開しました。 (そしてそれからまったく直していないという…/死)

じゃあ私死ぬ気で逃げるから……ッッ!!!!!!!(新婚早々!!?)















この先はきっとキイチだーりんもだれもが渋い顔する作品ですからお気をつけて!
だってツナいねえもん!!!(コラまてぃ!!!!)
ある意味バジムク?(え)





















嘲 愛





冷たくシンとした場所であった。
部屋の造りは間違いなく豪勢なものでまた天井も高いのだ。 ひっそりと高価な調度も趣味よくひっそりと整えられてさえいる。 なのに。窓の外の景色はゆうるりと春に向かっているのに…。 カツリとした硬質な足音が意外にもほの温かく響く、彼は傷むように苦く目を眇めた、 …ああ、それ程にこの部屋は、……いいや、牢獄だ、この冷たく冴え冴えと蒼く沈んだ此処は、 最早そんな生温い呼び名の居所ではなく牢獄なのだろう。
蒼く輝く空に手が伸ばせる鉄柵のない優雅な窓が幾つあろうと、 その向こうから暖かい陽光がどれだけ降り注ごうとも、この部屋には一雫として温もりが染み渡ることは決してないのだ。 まるで陽の刺さぬ石室と変わらぬ、ひとつひとつ歩みを進めて行く度に空気が冷たく肌を刺してくる。 ……本当に。誰かの怒りか、呪詛が複数の怨嗟の声が塗込められたような場所だ。なんと暗鬱な牢獄、憂鬱なことだ。
バジルは薄い色の瞳を固く凍らせて目の前の男と対峙した。凍えた暗がりの中でも独自の彩りでもっと凛と立つ男。 骸は。彼はこの部屋の主らしくに堂々と優しい微笑みを口許に昇らせていた。 非情な彼にとって他人の悲愴さなど全く如何でもいい代物であり、 また投げられる言葉が怨嗟であろうと罵声であってさえ、…例え賞賛であってさえもまるで意に介さない。 残酷なひとだ。 例え相槌のように美しい顔を笑顔でもって整えてみせていても、実のところはまったく人の言葉など解していない。 彼は揺れ動かない。口先だけの感嘆を稀に唇から漏らしても彼の心の芯は冷たく凍り付いたままで消極を極めている。 だから此の孤独な場所を平然と住処に出来るのだ。
…けれども、其の冷たさ、凛とした無関心さもただ一つを除いてのことなのだが。

「君も物好きですねえ…。そんなに僕がお好きなんですか?」

クスクス微笑みながら彼の細い指先がすいっと一輪の可憐なる花をテーブルの上の花瓶から優雅に取り上げる。 ふわりと其の清く可憐なる花でもって口許を飾るようにして 骸は豪奢なソファーへ甘い匂いを丁寧に味わいながらするりと腰を下ろして殊更にゆったりと寛いでみせた。 本当に彼は生まれながらにして王者の風格を得た者ではないかと思わせられる、それ程に、 高く足を組み顎をそらす姿さえ嫌味なく美しく似合う。まるで夜の蝶のような仕草でもある、 だが、彼は誰かに靡くことはない誇り高さが爪先の端にまで滲んでいる。美しい男だ。 同時に高潔な色を深く匂わせる支配者としての上質な魂を得ているよう……。だからか。 バジルは決してこの男に従う者ではないというのに、屈辱が、屈辱が、時折恐ろしい冷たさで身を焼く。 従っているわけじゃないのだ、決して。其れは確かなことだ。真実、確実に、決して偽りなく。それなのに……? わからない。唯一絶対の忠誠はあの方にだけと生涯誓い、命を賭してお仕えしているのに。 全てを捧げて愛しているというのに。それなのに、……揺らぐ。 美しい黒絹の隙間からさらりと覗く血色がじわりと焦燥を煽り、知らずバジルは喉を鳴らしていた…。

「………おぬしは、相も変わらず拙者を不快にさせることには長けているようだな。 そしてまた、未だに自分の立場というものをよく理解しておらぬ痴れ者のままだ」




『 バジル。君は彼が嫌いなのかい?でもね、其れでいいけど、でもね? 覚えていてよ。 』

夜の中に浮かぶ月のように。冷たい色のまっしろな瞼だった。 光を背に。額をコツリと突合せながら彼はとつとつと語った。真っ白な肌だった、 僅かに視線を下げれば開かれた襟元から見えた。首筋から鎖骨までが、すらりと滑らかに艶かしく光り、 バジルは慌てて両目をしっかり閉じて彼の声に耳を傾けた。 彼の手指は後ろ頭を回り、そしてもう片方が横髪をひっそりと撫でていた。 ……まるで子供扱いだ。年は然程変わらぬというのに、この人は時折ひどく優しく血を別けた子供のように自分を扱う。 綱吉。ボンゴレのボス。そう為る前からバジルは彼に絶対の忠誠を捧げていた。
そして。


『 骸のことを頼むね。いつか、君が殺してくれ。 俺は多分、彼の望みの全てを聞いてやれない。それどころか…、 切ないまでに何も与えてやれないんだ。場所ばかりを、其れを、其れだけしか与えてやれないのだから…。 』

バジルは、彼の悲しくも寂しい執着の色を知っている。
其れは最早神のような優しさで残酷さだった。 冷たく柔らかな声で紡がれた言葉。 バジルは目をそっと開き、殉教を希う敬虔な信者のようにそっと蒼く透き通るような白い瞼に口吻けを与えた。 途端ピクリと震えたが、けれども彼の口許は甘く微笑み、 琥珀の瞳をゆっくりと開かせるとバジルの額に優しい口吻けを落とした。





「痴れ者?、また、随分と上等な言葉ですねえ…。まるで僕が己の分をわきまえぬ愚か者のようではないですか。 僕はちゃあんと常に此処で使命を真っ当しているつもりですよ?」

骸はボンゴレの狗と為った。 絶対の忠誠を強制的に誓わされている。そう、強制的になのだ。 首輪も、鎖も、外れぬようにと首に付けてから溶接されていた。 屋敷の一室を与えられているが、だが、決して其処以外に存在する事は自由意志では許されない。
此れが綱吉の与えたモノだ。バジルの脳裏で綱吉が甘く微笑む姿が再生される、何度も。 何度も同じ言葉を優しく紡いだ。殺してやってくれ。何故だ。そう問えなかったのは弱さだった。 バジルはギリリと奥歯を噛み締め、骸を鋭く睨みすえた。

「おぬしは存在自体が毒だ」
「でしょうね」
「……おぬしなど、此処から居なく為れば良いのだ。さすれば、 誰もが安泰だというのに、…何故、おぬしまであの強く真っ直ぐな方を得たいと願う? おぬし程にあの方が誰の手にも渡らぬ方と知っているというのに…!」

骸は綱吉に執着していた。 ボンゴレの名を背負う彼ではなく、『綱吉』に。彼はマフィアを憎み、ひとを憎み、 綱吉だけを愛している。現在の彼の現状は健気さの表れなのかもしれない。 だが、バジルの感情が其れを拒絶した。此れは浅ましい執着だ。 其れ故にこのような不自由を甘受し、暗がりの笑みでもって優しい彼を醜く脅しているのだ。 満足でしょう、化け物を囲えて…、と。彼の心を悪意で犯すのだとバジルは。




『 彼はね、永遠を生きるんだよ。死んだらすぐに生まれ変わるんだ。……うん、此れはね?これはボンゴレのごく一部だけの秘密の筈なんだ。でも、バジルにも教えておくよ。ごめんね。いけないことだろうけど、でも、……どうか、聞いて欲しい。彼は殺されたがっているんだ。世界を憎んでいるから生きていたくないって言っていたよ。だから、俺は、けれども俺は、…… 』



「だからといって僕が綱吉くんのモノになってはいけないわけじゃあないし、 僕を見て憐れんでくれる彼を見て僕も彼を憐れと思ってはいけないわけじゃあない、…ねえ、そうでしょう?」

骸はクスリと微笑みながら緩やかに幸せそうにほろりと言葉を零した。 憐れですよねえ、僕らの神様は。とても嬉しそうに。慈愛に満ちた顔なのかもしれない。 整った白い顔は天女のように優しく華やかな色に染まっていた。
ああ、此れが。彼にとっての最上の嘲笑の姿なのだろうとバジルには解り過ぎる程に解ってしまった。 彼の背後の大きな窓、そこには陽気な晴れ晴れとした青空が広がっていた。 雲ひとつさえなく、何の悪い予感も感じさせない。其れが、どうにもバジルの中で苦しい焦燥を産みつけた。 うつくしくきよらかな空の下なのに。けれども此処は哀しい程に暗がりだ。 まるで不幸を望んでいる。此れが、愛の形なのか。此れが、彼という人間の懐深くに分け入った者の末路かと。 寂しく辛かった。



『 バジル、 』



「骸、如何しておぬしは……」

ひとは誰しも幸福の為に産まれてきたわけではない。 彼を見る度にバジルは深くそんな思いで胸の中を犯される。 悪であればいいのに。この男が悪を真っ当するのであるならばと。 彼に害する人間であれば良かった、しかし彼は飼い殺される。 綱吉くんに逢いたいですねえ、骸は眠そうな声で紡いだ。




『 殺してやって…。俺には出来ない。彼の居ない世界にいるなんて。』



本当に、綱吉という人間の愛し方は何かを嘲るようだ。
そんな主の姿が辛い。バジルはいつだって骸が此処から立ち去ってくれる事を願っている。 彼の愛を否定してくれ。その為になら絶対なる主を裏切っても良かった。 骸さえ居なければ。目の前から居なくなれば、きっと。

「……僕は、綱吉くんにしか殺されません。其れが叶わないなら世界を滅ぼしてやります。 もう二度と生まれ変わらないように。僕は彼に殺されさえすれば、次の生を彼の殺し方を真似て死ねるのですから。 僕はそういう形で彼を永遠に覚えていきます。もう二度と逢えないのですからね…」

もし、綱吉が世界中の全てを敵に回したとしたら、 バジルは勿論彼を絶対に守り抜こうと何だってするだろう、…だがしかし、 彼が道連れにするのはこの呪われた男ただひとりだけなのだ。



『 俺は長く生きない。誰かに殺される運命なんだ。だから、俺が帰ってこなかったら彼を殺してやってください。 』











(終)











2006/04/02