(其れは本当にたしかな………、)






『 事 実 』











うそくさい空だと思った。
大空に広がった派手な…、というには何処かうっすらと伸びた、 なんというのだろうかそれは淡いというには主張も激しい色彩であり、 だから『派手』と形容したいのだがしかしながらも派手というには徹底的に足りないものがある気がした。 それは自分の『派手』に対する印象が左右した感覚なのかもしれない。 派手じゃない。嘘くさいのだ。胡散臭いのだ。奇妙に明るく薄暗い。 空はまるで黄色いスイカみたいな色だった。うん、それがぴったりな例えじゃないか。 綱吉の中にストンと何かが綺麗におさまった。真っ赤な筈のスイカの果肉が黄色かった、 それを見た時のソレと此れは驚く程に似通っていた。なんてうそ臭い空でしょうか!

「本当に奇妙な色の空ですね…。黄色いだなんて」
「明日は台風だっていってたけど、だからってこんな空も…」
「雲のせいでしょうね」
「雲のせいだけど、それでもこんな色ってさ、」
「なるものですね。雲がもう少し綺麗な色だったら金色に見えるのでしょうけれど、 でも暗色のと白のとが集まって出来た雲の集まりですから、 その微妙なちぐはぐさ加減でこうなったんじゃないですかね?」
「ふぅん」
「ま、なにがどうなってこんな色になったかなんて如何でもいいですよ。もうすぐ真っ暗になってしまうんですから」
「そだね」
「黄色いスイカが食べたくなりましたね。途中で何処かで売ってないですか綱吉くん?」
(骸って意外にあれだな。料理番組見ててそれ食べたくなる性質だ。)

「スーパーに寄っていこっか」
「売ってなかったら赤で我慢しましょう」



ふと思う。骸の横顔をさらりと黒髪がすべった。赤い瞳は空を見つめていた。
うそ臭いってなんだ。
現実に本当に眼の前にこんな黄色い空が広がっているのに嘘だなんて。

まるで眼の前の骸が生きていないみたいな感覚だなとぼんやり思いついて綱吉はおもしろくもないのにわらっていた。

「……どうしました、綱吉くん?」
「んー」
(この嘘のような色の空の下で歩む此の俺たちの現実は嘘なのだろうか…)

ふわりと顎を上向けて天を仰ぐと背後からの強い風が髪をゆらしていった。
此れが嘘だというのなら…、言葉が脳裏につらなる。嘘だと思えるのはきっと…、この先を思うのは何処か怖い。 渇いた唇をなめた。嘘か…。しんじられないことなのか。 かなわぬと、おもってもいなかったと…。ふっと思考を閉じ込めるように綱吉は瞼をおろした。

隣に骸はいる。
(この現実を奇跡のようだというには、綱吉のなかの何者かが反発した。)


(終)











 アトガキ
読み返して気付いたけど、…あれ?? あ、あのー、骸さんたら綱吉の思考回路を覗き見た!!?(爆)
なんで黄色いスイカという単語が骸から出てきちゃったのかしらね☆(ぷぷぷぷーー!!!!)
2006/10/08(初出::2006/08/08)

ちょいと加筆修正!!ラブ度があがったかな!!!?