「愛さなくてもいいんですよ、ただ、僕を忘れさえしないでくれるならそれで、 …それで僕の中のなにかが救われ君は地獄におちてくれるのだから」


そう、それがいいと。あまりにもすらりと鮮やか過ぎた笑顔は無垢な色の切っ先にも似て、 暖かな陽の下で眺めているというのに、…何故だろう、とてもとてもさむいのだと綱吉は思わずゴクリと 凍えた喉を動かしていた。ジリジリと蝉が鳴く。汗が悪寒のように冷たく背中を滑る。 目の前の骸はまっしろな蝋のような肌で、そして立ち姿が幽玄のようにゆらゆらしているのに その両目だけが厳しくギラリと…。まるで、まるでまるで、そう…それは、その笑顔は。
暗闇の中にぽつりと堕ちた鮮血のようなドロリとした暗鬱さとうつくしさがあったのだ。



【 02. こんな想いには気付かないで下さい 気付くべきではないのです 】
                                        title by 【 capriccio 】
>>Asphodel(アスフォデル)