い つ か の 約 束









放課後の応接室。
窓から見下ろすグラウンドは、………変わらない。
一年前ここを卒業した自分がいた頃と、なんら変わりのない日常。

        下校する生徒のざわめき
        クラブ活動の掛け声

       息の詰まりそうな草食動物の楽園

   ここに君がいなければ、二度と来ることも無かっただろう

(そろそろかな?)
思ったとたんに声が聞こえてくる。
あぁ、君の騒がしい取り巻きの声。

       「…………イタリア」
       「せめて卒業式まで……」
       「………………終わったら一度戻ってまた」

聞かなければならないことがあるんだ。
周りの千の言葉なんかよりもただ一言君に。



扉が開く。
            「やぁ、綱吉」
                         君の顔が強張る。



「ひさしぶりだね」
「ヒバリ……さん」
立ち尽くす君にゆっくりと笑みかける。
「君は忙しいんじゃないかと思って、僕から出向いてきたよ」
「あ、の………あ……」
言わなきゃならないことがあるだろ?僕に
「どうしたんですか?十代目?」
後ろからひょいと覗き込んだ取り巻きが僕を見て気色ばむ。
「なっ!!雲雀恭弥!」
「ツナっ!」
綱吉の腕を引き、応接室に駆け込もうとする2人の鼻先でドアを閉め、鍵をかける。
ドンドンと騒がしい扉の前で、背後から抱きしめた腕の中の綱吉の耳元で囁く。
「言わなければならない事があるだろう?僕に」

君の口から。

「十代目!!ドアから離れてください!」
「まって!!」
さすがにこれ以上うるさいようなら先に沈めてやろうかと思っていた外の2人に綱吉が静止の声を上げた。
「しばらく……ヒバリさんと2人にして。何かあったら呼ぶから、外で待っててほしいんだ」
「しかし……」
「本当に、………すぐに終わるから」
扉越しにそう告げて、君は振り返ると、僕に言った。
震える声で、揺れる眼差しで、それでも…………はっきりと。


          「俺はイタリアに行きます」


「ファミリーを引き継ぐためにだね」
                           「そう、です」
「自分で決めたんだね」
                      「……そうです」
「もう君は、君だけのものではないんだね」
                      「……でもヒバリさんっ!」


             「僕だけの君は、もういないんだね」



綱吉の眼から涙が零れた。
瞳を開けたまま流れ落ちる涙を指先で拭う。
この涙さえ、もう僕だけのものではないのだ。
ファミリーのボスになるとはそういうことなのだろう。

      ヒバリさん

声も無く君の唇が紡ぐ僕の名。
震える唇に、そっと最後のキスをした。



「僕は、ボンゴレファミリーをつぶすよ」
腕の中で震えていた小さな身体が僕の言葉に強張る。
「ボンゴレの名に連なるものを、一人残さずつぶしていくよ」
「そんなこと、させません」
涙に濡れていた瞳に強い意志がやどる。
もう君は、組織のための君。
守るべきモノがなくなったとき、君は君に戻るのだろうか?
…………多分、無理だろうな。
抱きしめていた手を放す。
君を手離す。
「ここを」
トン、と心臓の上を指で押して少し笑ってみせた。
「最後に君のここを喰い破って、殺してあげるよ」
僕はやるといったら必ずやるからね。
「それが嫌なら、………僕を殺せばいい」
どちらが早いか競争だ。
「ヒバリさん……」
「もう、行って良いよ」
ドアの鍵を開け、扉を開く。
ドアにへばりついて聞き耳を立てていただろう奴らに綱吉を押しやり、振り返る前に別れの言葉を一方的に告げた。
「バイバイ、綱吉」



ドア越しに聞こえる君の声。
少し涙の混じる声。
その声が僕を呼ぶ。
これから先、君の敵になる僕を呼ぶ。

「君が好きだよ」

他人と君を分け合えないほど。



                                   「だからいつか、君を殺すよ」








(終)












 からすまるより。
ばっかやろー!!てめ、こんな儚くも切ない敵対なんて美味しいモノをくれやがりなさってぇーーー!!(日本語ヘン) ばっか、惚れるじゃねぇか!!(笑)
それにしても初めてまともな『愛』を頂いたような…。誕生日プレゼントに愛が欲しいとかいったらAVくれた君だしね!!(実話)
しかし本当にねぇ…。うちのヒバツナと180度ちがう!うわーうわー!好き!!こういう執着執念情念独占欲!!
ヒバリ様にかっこよさを求めてるだけあるなぁ…。(その割にはあんたヒバリさんの女装話にくいつくよね)←資料提供までしましたよこのひと!
なにはともあれ有難う!!これからもヨロシク☆(ギン!!)
2005/10/14