Wilder than blue heaven
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綱吉は存在感のなさについては三国一という自負がある。ひょろっとした体つきな上に背も小さいし、 顔も個性的なものじゃない。後ろから見てるとなんだか、なんというかふわふわしているそうだ。(この髪のことか!?) 千種談。 なんか存在してないようなカンジ。ふむ、と俯き指を顎に添えながら考え込む仕草で千種がぼそぼそと呟いた 言葉にへーほーふ〜〜んと綱吉は紙ジュース飲みながらそうなんだーと思って、そんで自覚もした! やはり自分は『地味』に愛された地味にこそ生きるべき一般善良小市民なのだと……!! こんなところ(※隣に骸。綱吉の背後からは犬がぬっと顔を出してはふはふと懐いている現状。)に いてはいけないのだ!一刻も早くに安住…、いえいえ!自分のあるべき地味っちぃ世界に行かなくては ならぬのだ!そうだ!………とゆうか、なんで本当に無駄に顔のいいのが傍にいるんだろうなーと綱吉は 寒い思い(だっておんなのこじゃないんだもん!キレイでも男なのは絶対ノー!とゆうか男のクセに 綺麗なのっていやなんですが…。ちょっと、うん、……声に出していえませんが、…………………… そこらの女の子よりも華があるってどうよ?ディーノ先生なんかカッ!というかシャラリラリーー!!というか、 なんというか本当にゴージャスに眩い大輪の華だ!!しかも下まつげもきっちりくっきり長いんだ……。) で日々過ごしている。(でも諦め早く順応力も高いので割りとすっぽりそんなこと忘れて時折に ハッと思い出して取り出して眺めて…。あーあと溜息。せつない。彼女がほしい。 そして振り出しへ。)
まあ、とゆうわけで!綱吉は自分の存在感なんて空気のようにふわふわ誰も気にしないよ!という 自覚が充分あるわけで、そして自分がなんだかんだと名前が黒曜中で微妙に知れ渡っているのは 周りにいらっしゃる皆様(※美形だけど変態な方々。※※注!『変態だけど美形』じゃなく、『美形だけどオカシイ人』 『美形だけど変態』。これ絶対。この順番は間違えないよーに!!)のおかげさまですということも よっくわかっておりますもので!!

「……ま、いっか」

一応学ランの上脱いで、うんうん、よしこれでいっか!というコトで綱吉は裏門からするーっと並盛中へとはいったのであった。 てっくてっく歩いていってみて、特別校舎の横を通ってグランド傍いっても、並盛生と擦違っても…(ドキっとしたが)、 …………見事にスルーでした。さすがに少々綱吉はせつなかった。だって、自分なら、黒曜中に並盛の生徒いたら、 あれー?といった顔くらいするのだが、…あれ?俺もしかして見事に空気と同一みたいなの?ん?!綱吉は 本当に自分の存在感というものがすばらしく軽いもんだと、…哀しく自覚した。まあいいけど。 とりあえず、コキ、と首を鳴らして綱吉はぼけーっとつったって考えを巡らしてみる。カキーンと爽快な音が聞こえた。 野球部がすぐそこで練習している。…いや、まあそうじゃなく、応接室だったかな。

「……やっぱ、聞くしかないかなぁ…」

空はあおい。はればれそよそよ、あまりにも目の前は平和な景色で、そしてこれが普通の学園風景なのかーと しみじみした。綱吉は本来あまり人とつるむ性質じゃない。とゆうかつるもうとする性質じゃないというのが 正しいのか。どちらにしろ、自分のしたいようにしていたい気質であり、だが即断即決即行動! って性質ではない怠け者。幼稚園の頃なんか、いきたくないなーとか 空が青いからずっと眺めていたいなあーとかで川辺でゴロンゴロンしていて夕方頃までぐうすか寝こけて 捜索隊が結成されかけたことがあるくらい、他の同年代の子たちがキチンと守っている何らかの筋道から 解放された頭をしている。 綱吉は自分本位にふらーっと生きていたい。楽してのうのうとしていたい。 アレしろコレしろというのなんか無視していたいのだ。骸いわくだと綱吉は風船みたいにぷかぷかしてますねー。 幼稚園の頃から貴方目の前からふわっといなくなってたので目が離せませんでしたよー?そういえば 骸はいっつも綱吉の手をひいた。………今思えば、あれが、あれが、…?…あの頃が一番骸がまともな頃 だったのかもしれない。のかな?幼稚園脱走とかし始めたのは骸からだが。(綱吉は脱走派じゃなく行かないでぶらぶら派) でも綱吉の手をひっぱって幼稚園に連れて行ったのは母親でもなく先生でもなく骸だった。……真面目だ! 今思うと、相当真面目な行動だったんじゃないか?綱吉は応接室にどう行けばいいのかということを暫し忘れながら そんな過去にすこーしばかり感動した。すげえ!奴にも一人間としての常識が!!うわああー!

「…?なに、あんた?どうかしたのか?」
「え」

ハッ!と気付けば目の前が暗かった…。というか、景色がちがう?あれ?泥。泥のついた…、ユニホーム?あ。 綱吉はそろーっと、徐々に徐々に目線をあげていく。目の前のものは背が高いようで、くっと首をそらして曲げて上向かねば その顔を拝めなかったのだ。

「ぷっ、…さっきからあんたさぁー、すっげえ百面相だったぜ?」
「あーー……、ご、ごめん…」

耳の先がジンジンとする、赤い。赤いだろう、うん。うんうん。綱吉はガクガクぎこちなーくなまぬるーくわらった。 あっはっは!そしたら目の前の爽やか系野球少年もあはははーとわらってくれた。…いや、一緒にわらわれても! どうしようか。というかこの人に『応接室ってどこですか?』とか聞いてすぐさま立ち去ればいいのでは? 綱吉はおお!そうかと思いついたが、…なんか、……んーーーー??彼はにっこにっこと屈託なく自分を見てわらうものだから、 綱吉は応接室よりもその理由について首をかしげながら問うていた。

「?……なんか、俺の顔についてる??」
「いや。ただここの生徒じゃないなって」
「あ、…うん、そう」
「どこ?」
「黒曜」
「へぇー」

なんだろ? 綱吉には存在感が希薄だというレッテルがベタッと貼っつけられている。(自覚)しかも無害そうな顔だ! 『お。こいつ他校の生徒じゃね?』と気付かれてもスルーされるだろう。……なのに、なんだ。なんだ!? なんで自分は自分よりも何百倍も無害な花丸好印象を与えるだろう少年に呼び止められてしまっているのでしょーか!? 綱吉はすっと背中が冷えるというかなんというか、ゾクっとかザワっとか、そんな気分で少年の好奇にも似た好意的眼差しを 受け止めた。























 アトガキ
ちょいとキリが悪いがこのへんで!もっさん初書きか?
2006/06/01