Wilder than blue heaven
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…昔はほれ、なんだ?んん?あーー〜〜っと、なんというのかなぁ…?? 綱吉は頭の横でくりくりと人差し指を回して思い巡らす。こう、なんだったけーかーぁーなぁ〜〜?? まるで指揮棒を振るかのようにくるくる指をまわしながら、ああだこおおだと思い出そうとする。が! 思い出せねえよバカーーー!!!……と、逆キレった。おいおい。自分で自分に冷静につっこんでみる。 キレたってさー!思い出せないでしょーーー!!?バカ!俺のバカ!!綱吉はひとり二役的に脳内漫才を繰り返すくりかえす…。

(……って!こんなこと脳内シミュレーションしててもラチあかないよなあ!!?)

当たり前だ。そして俺はなにを脳内シミュレーションしてたんだとも気付いたが、……まあ、俺バカだしいいんだよ!! とかなんとかでもうヨシとした(いくないよ!) とりあえず綱吉はあーとかうーとかそんな呻き声っぽいものを出しながらだらだらと目の前の野球少年の視線に耐え (限界だよ!!だから脳内で昔のことを走馬灯しちゃったんだよ!!?自分でもわけわかんないよ! そんぐらい混乱してんだから気付いてよ好青年ーー!!!) ていた。綱吉は好奇な視線を浴びることは結構しょっちゅう(※骸さんのせいです。)ではあるが、だがしかし、それに慣れたわけでは まったくもってない!断じてない!グッと握りこぶし握って綱吉は涙目になってくる。あんにゃろ。 ……って、いまの現状はまったくもってそいつのせいじゃあないのですがー…。はあ。綱吉は幾度目かのため息吐いて チラリと目線上げて少年の表情を盗み見た。
目の前の少年はううん?と首をかしげながら唸った。そしてじっと、じぃーーと綱吉の顔を食い入るように 眺めてくださるもので、思わず綱吉はヒッという悲鳴を喉奥にしまいこみながらやや後退してしまった。 しんけんなかおだ。ニコリとわらった顔一転!素晴らしく雄雄しい顔がずいっと綱吉の顔に近づけられた。 好奇な色が真っ青な炎になった、そんな印象の瞳が綱吉を見つめてくる。ゴクリ。……あのー、とかいって 綱吉はにえへらとわらった。あのー…、あのー〜〜、でもその先はなんていえばいいのかわかんなくて (でもやめてほしいことはよっくわかっている!あんまり見ないでくださいよ!!!……そ、それを言えばいいのかも しれないんですけどー!でもー!なんか怖いのでいえませんのですがーーー!!?)、綱吉はぐるぐると悩むうなる、 だらだらと冷や汗まで流れだしてきそうだ!なんで今更こんなじっくりじっくり真剣な顔でもって 眺め回されにゃあいけないのだ!綱吉は無害な顔である。…ど、どちらかというと、小動物っぽいやもしれませんが! でも、でもでもでもこのようにじろじろ眺め回されるようなことしてそうな顔も雰囲気も度胸もなさそうだというのに…! 綱吉はもうどうすればいいんだよオイー!と心中で叫びまくった。これが ごっつい顔のごっつい強面の方でしたら速攻逃げればいいのだが、しかし、しかながら…! この少年は無害なひとだと思う。だから、……殴られるってことはされないと思います。本当に このひとは自分の顔になにかついてるから気になるとか、誰かに似てるとか…、まあそこらへんが 気になって見ているのではないかと??
そして第一このひとは初対面なのである。名前もしらない。大体ここは並盛中でありまして黒曜中の自分としましては 早急にぱぱーっと応接室に行きまして荷物(※先生)を引き取りに向かわねばならない身の上でありまして……。

(あー。…もう、さ?こうなったらこれしかないようなぁ??)

ポン!綱吉はそうだった!というように手を打つと、頭に浮かんだ案のままに、ニコーと彼に微笑んだ。 ニコー。少々引き攣ったものでありましたが、少年は、あ、とかいって、自分があまりにもじーっと綱吉を 見つめていたことにようやく気付き(おっせぇよ!!)、『あ、ごめ…』と、そう、……。

「じゃ!!俺!!これで!!!」
「ん…、え?」

逃げた。ぴゅーーーーーっと!逃げ足だけは自慢の綱吉さんでありますので、速攻にして華麗なる逃げっぷりである。 思わず少年はポカンとしてしまう。 ぽかんとしながら、…あ、とかなんとかで、…ああ、そっかそっか!!とかなんとかで ようやく、綱吉の去り際の笑顔とか見事な逃げっぷりによって 彼の頭の中に浮かんでいた点が、もうひとつの点を見つけ更に見つけみつけ…、 そうして其れは線となり線は繋がっていきするする実像へと移り変わって行く。 実像。それはとてもちいさな姿である。だが、それが彼の心にひっかっかっていたものだ。 彼は彼の答えにようやく辿り着き、…ぷっと思わず吹き出してしまう。 くいっと野球棒をあげ、目を細めながら見つめる先の綱吉の背中はほそっこくてちっこくて、 相変わらず棒きれみたいな体だから、転ばないようになーとか心配になるが、 でも、茶色の髪がはたはたと靡き太陽の光で金茶に透ける姿を見てしまうと 別の意味でふっと心配になってくる…。ああ、…どうか。 それでもそれを押し隠すように彼はくすりと懐かしくわらった。

「なんだ…、あいつ。ツナじゃんか」

かわんねえなぁー。彼はくすくす笑いながらグラウンドの方へと歩き出す。キン、とバットがボールを打った音。 パシ、とボールがミットの中に包み込まれる音。あおぞら。彼は野球部の仲間の方を歩み出しながら、 少しだけ戸惑う自分にハッとするが敢えて無視をする。

(追いかけたって、あいつが俺を覚えてるなんて皆無だよなぁ…)

あおぞら。……いつも、その下で、あのこは遠い目をした。そしてふわっと居なくなるのだ。
幼稚園の頃からツナは相変わらずはしりまわってんなーとか山本は思った。そして傍にあの骸がいないことが新鮮だった。











 アトガキ
ふつうに削除ってもいいんでないのこの部分?とか思った自分がいます。山本がこれからどう絡むのさ!!!?(………。)
2006/06/05